7、 第三者提供に関するルール
- 以上見てきたのようなルールを定めてもまだ十分ではありません。
個人情報が転々流通すれば、自分の個人情報がどこに存在するか分からなくなってしまいます。
そうすると、個人データに関する事項の公表等(24条)、開示(25条)、訂正等(26条)、利用停止等(27条)の手段が採れないことになり、権利利益の侵害の防ぎようがなくなってしまいます。
そこで、原則として、個人情報取扱業者が個人情報を第三者に提供する場合には、本人の同意が必要となります。
- もっとも、法律には、当然のように例外があるわけで、本法でも以下の場合には、例外的に、本人の同意なく、その個人情報を第三者に提供できるとされています。
@法令に基づく場合
A人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ること
が困難であるとき。
B公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本
人の同意を得ることが困難であるとき。
C国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行するこ
とに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行
に支障を及ぼすおそれがあるとき。
これらの場合には個人の利益よりも公益等が重視されるべきだからだと思われます。 - ここまではよかったのですが、本を読んでいて私が良く分からなかったのは23条2項です。
23条2項は以下のように規定します。
「個人情報取扱事業者は、第三者に提供される個人データについて、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって、次に掲げる事項について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているときは、前項の規定にかかわらず、当該個人データを第三者に提供することができる。 一 第三者への提供を利用目的とすること。 二 第三者に提供される個人データの項目 三 第三者への提供の手段又は方法 四 本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること。」
私は条文を読んでもすぐに意味が分かりませんでした。
そして、本を読むと、「オプトアウト」とかいう言葉が出てきて「はぁ?」って感じでした。
でも、本条本項がどのような場合を想定しているか考えてみると分かりやすくなります。
ここでの個人情報取扱事業者として想定されているのは、住宅地図業者やデータベース業者です。
これらの業者は、そもそも、第三者へ個人データを提供することを業としているので、個人情報保護法によって、第三者提供が原則として禁止されると、事業が立ち行かなくなってしまいます。
「こんな業者は許さない、業態変更させてやる!」という価値判断もあると思いますが、住宅地図がなくなったりしたら困りますから、このような事業者もなんとか救わなければなりません。
だけど、第三者提供は原則として禁止することにしたし・・・どうしよう???
それを解決したのが23条2項だったんです。
本条本項は、
一 第三者への提供を利用目的とすること。
二 第三者に提供される個人データの項目
三 第三者への提供の手段又は方法
四 本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること。
を、「あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているとき」は、「停止が求められない限り」第三者提供が許されるとしました。
このような場合には、、本人は第三者提供される状況を認識しているんだから、本人の同意を推定するみたいな形にしてるのかなぁって感じです。
どっちが主体的に動くかが逆になっている感じですね。
1項では、業者が、個人に対して同意を求める。
2項では、個人が、業者に利用の停止を求める。
なぜ、2項で、1項との逆転が許されているかといえば、業者の保護の必要性でしょう。
でも、やはり第三者提供は、本人の同意がない限り原則ダメ!という原則は崩せないので、嫌な場合は利用停止を求めることができるようにしています。
この、情報提供についての拒否権を認めることをオプトアウトというのでした。
なにもこんなに難しい言葉使わなくてもと思うのは私だけ? まぁ、分かってしまえば簡単なのですが・・・。
- 23条3項も併せて確認してくださいね。
また、23条4項は「第三者」にあたらない場合を定めていますので、各自確認してみてください。
今までの説明の中で出てきた考え方で大体分かるのではないでしょうか。